sabakubakubakuの日記

発達障害児を育てる発達障害ワーキングマザーの日記

元気が出ないのでゲシュタルト療法に行ってみた

最近知り合いから、田房永子さんの「母がしんどい」という毒母についての漫画をすすめられ、すっかりはまってしまった。うちの母はここまで無茶苦茶ではなかったが、実家が変な家で子どもの頃に嫌な思いをしていたのに、その悲しみや怒りに蓋をして大人になったため、いろいろキツいことになってしまっているという経験や心の軌跡に強い共感を覚えた。

何冊か続けて著書を読ませていただいた中で、「キレる私をやめたい」というタイトルの本に、ゲシュタルト療法というセラピーを受けて自分の中の怒りの感情に気づき、それを解放するプロセスを踏みはじめたというエピソードがあった。こんなにしんどい体験をしたトラウマからの回復に大きな効果があるのなら私もやってみたいと思い、早速田房さんが受けたセラピールームに予約を申し込むことにした。本で紹介され、予約も取りづらいだろうなと思っていたが、キャンセルが出たという事で運よく早々と初回の予約を取ることが出来た。これも何かの縁だったのかも知れない。

田房さんの本に出てきた話はグループセラピーだったが、私は個人で初回のセッションを90分間で受けてみた。今まで長年、他の臨床心理の先生とトラウマワークを行ってきたが、ゲシュタルト療法というセラピーは初めてだ。先に結論を書くと、来て良かったし、効果もあったと感じられた。忘れないうちに、どんな話をしたか、どんな気づきがあったかを、書き留めておきたいと思う。

セラピールームには、本と同じように、いろいろな色や素材のクッションのような座布団がたくさん置いてあった。私はまず、切り株の絵柄の座布団に座り、先生に今困っていることを説明した。カウンセリングの時はいつも、移動の電車の中で、今日相談したいこと、ワークで解消したいことをいろいろ考えたりするのだが、大抵はどんなトピックを選んでも、たいがい心の中の深くにある同じ感情にたどり着くので、あまりきっちり準備しても仕方がないと思っている。今回は話の切り出し口として、職場で大きな環境の変化が続き疲弊してしまったこと、同僚に対して冷たく心の無い対応をしてしまう自分を嫌悪しているといった事で困っていると、先生に相談することにした。

まず、先生が私の前に座布団を1枚起き、「そこに相手の同僚(女性)が座っているとイメージし、私が彼女に対して、最近職場で起きた諸々の事について、申し訳ないと思っている事を伝えて下さい」と私に言ったので、座布団に向かって、これこれこういった事をしてしまってすみませんでしたと、話しかけてみた。すると先生が、「では相手の同僚の座布団に座って、申し訳ないと言われてどう感じたかを表現してみてください」と促し、実際に座ってみると「申し訳ないと言われ、悲しい気持ちと、あなたの心の底には冷たい感情があって、それが私を傷つけていると感じる」という言葉が、彼女が本当にそう思っているかどうかはともかく、私の口から自然に出てきた。先生との対話で、私のコミュニケーションが率直ではないので、周囲の人を嫌な気持ちにさせているのではないか、そしてその原因は子どもの頃に自分の思ったことを安全に表現できなかったからではないかという流れにつながって行った。

そのようにしてやりとりやエピソード、見過ごしていた気持ちが次々に出てきて、その度に先生が、その気持ちや相手をイメージする座布団をどんどん床に広げていってくれた。最終的に、今の私、5歳の頃の膝を抱えて座り込んでいる私、私の父、母、母の母(祖母)の座布団が床に並び、それぞれの座布団に交互に座りながら、その時どんな気持ちだったか、その時の相手に何を伝えたいかといった事を、それぞれの立場で話し続けた。「私は傷ついて悲しかった」、「私(母)もつらかったし、どうして良いか分からなかった」、「他に対応方法を知らなかった」といったセリフが徐々に出てきて、田房さんの本に書いてあった通り、口調や言葉遣いもだんだん相手に似てくるのが感じられた。

最後に先生が、ピコピコハンマーを取りだし、父、母、祖母の座布団を殴って怒りをぶつけてみて下さいと勧めてくれた。私は何だか思い切りたたきつける気分にはなれず、一人一人に文句を言いながら、小さな子どもが握りこぶしで大人に向かって「お父さん、お母さん、おばあちゃんのバカバカ」と泣きじゃくりながらドンドン叩くような調子でひとしきり座布団をたたき、最後はその3枚の座布団を抱きかかえて声を上げて泣いてしまった。

何度か書いているが、私の父はどう考えても自閉スペクトラムで、母と祖母はADHD/ADDの傾向があった。それで家庭内のコミュニケーションに問題があったところに、やはり自閉スペクトラムの私が産まれ、育てにくさに悩まされたりしたんだろうと思う。また母はフルタイムで働いていたが、当時はまだワーキングマザーは少数派で、苦労も多かったに違いない。今の自分とよく似た状況だ。発達障害についての知識や理解が一般的ではなかった分、さらに辛かったかも知れない。

でもだからと言って、私が傷ついて我慢しなくてはいけないという事にはならないし、小さい頃の私は理解と愛情を示され、適切なケアを受ける権利があったはずだ。その事について、私は今も深く悲しんでいるし、怒りを覚えている。怒りたい気持ちと、両親、祖母に対する同情が入り混じって、訳の分からないことになってしまっているのだ。

セラピーの中で、そんな怒りや恨み、悲しみの感情を長い間抑圧してきてしまったので、圧縮されたタールのような、黒くてどろどろした嫌なものが胸の中に巣くってしまい、それが体の不調という形でサインを出しているという指摘を受けた。先生は、怒りの感情を吐き出せば、そのエネルギーはプラスの方向に流れるので、新しく建設的な行動を取れるようになると励ましてくれた。

今日のセッションでも、黒いタールの一部があたたかい澄んだエネルギーに変わるのを感じることが出来た様に思う。あと2、3回続ければ残りの部分も取れるでしょうという事だったので楽しみだ。何だか元気が出てきた気がする。